歯のインプラント手術は、失った歯を取り戻す方法として近年注目を集めています。ですが、治療の過程や術後の経過によっては、痛みが出ることも。
そこでこのコラムでは、以下の内容を解説しています。
インプラントの痛みに不安を抱えている方や、これからインプラント治療を受けたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
インプラントは失った歯を取り戻す有効な手段ですが、多くの人々が気になるのが「痛み」です。
インプラント手術で痛みが発生するのは、どのようなタイミングでしょうか。今回は以下6つに分けて「インプラントによる痛み」を解説していきます。
大前提として、インプラントは外科手術ですから麻酔注射をおこないます。この麻酔注射の際、痛みを感じる場合があります。
ですが、麻酔注射前に局所的な表面麻酔をおこないますし、注射自体もすぐに終わるので、痛みはほとんどありません。
また、注射が嫌い・抵抗があるという方向けに、別の麻酔方法が用意されている歯科医院もあります。あらかじめ担当医へ確認するようにしてください。
適切に施された麻酔の下での手術は、痛みを感じることはほとんどありません。そのため、痛みに対して不安を感じている方も、安心して手術を受けていただけます。
ただし、麻酔の効き方に個人差はあります。手術中に麻酔が切れたり、痛みに不安を感じていたりする方は、手術前に医師へ相談してください。麻酔の量を調整してもらえることがあります。
麻酔の効果が残っている直後は痛みは少ないですが、数時間後には痛みや腫れを感じることが増えます。インプラント手術は、歯茎の切開と顎の骨へ穴を開ける工程があるため、どうしても痛みが伴うためです。
ですが、インプラントの術後直後の痛みは、処方される鎮痛薬でコントロールできます。
一般的に、インプラント手術後の痛みは2日〜3日程度、長くても1週間程度で軽減することが多いです。手術部位の回復速度や個人の体質、手術の難易度により、痛みの持続期間は異なることがあります。
1週間以上痛みが持続する場合、感染のリスクや他の合併症の可能性も考えられるため、歯科医師との相談が必要です。
インプラント手術後の7日〜10日後に、歯科医院にて抜糸がおこなわれます。抜糸中の痛みは、「違和感を感じるくらい」「チクッとした痛みを感じる」など個人差があります。
抜糸中の痛みが怖い・耐えられないとお考えの方は、事前に麻酔を受けることも可能です。あらかじめ歯科医師に相談してください。
抜糸後は、基本的に痛みが発生することはありません。ただ、以下のような強い刺激・衝撃によって痛みが発生する場合があります。
刺激や衝撃次第で、縫合した患部が裂ける可能性も。そのため、抜糸後直後から4週間程度は患部をなるべく触らないようにしてください。
インプラント手術が完了し問題なく骨と結合した場合は、基本的に痛みは感じません。しかし、「インプラント周囲炎」に感染した場合、痛みが発生することがあります。
インプラント周囲炎とは、インプラント周辺の歯茎が細菌に感染し、炎症を起こしている状態です。インプラントと歯茎の間に歯垢が溜まることが原因で発症します。
インプラント周囲炎が起こると、インプラントの脱落によって失敗につながります。
インプラント後は口内のケアを徹底し、清潔な状態を保つようにしてください。
インプラント手術の際には、痛みを抑えるための麻酔法が存在します。今回は、局所麻酔法と鎮静法の2つの主要な麻酔法をご紹介します。
インプラント手術で一般的に用いられているのが、「局所麻酔法」です。局所麻酔法は、特定の部位の感覚を一時的に失わせる方法です。
効果は短時間で始まり、手術の時間帯に合わせて調整ができます。体全体への影響が少なく、手術後の回復も迅速です。また、局所麻酔法は手法によって効果の持続時間が変わります。
局所麻酔法は、注射によっておこなわれるため、注射の痛みが苦手という方は抵抗を感じるかもしれません。そこで、「表面麻酔法」によって手術箇所に麻酔薬を直接塗布することで、注射の痛みを感じないようにすることも可能です。
インプラント手術の際、局所麻酔法と鎮静法を組み合わせる方法があります。
鎮静法は、精神安定剤を使用してリラックスした状態にさせ、不安を軽減しながら手術を進める方法です。
インプラント手術に全身麻酔は用いられないため、意識のある状態で進められます。そのためインプラントに不安を抱いている方は、手術中にパニックを起こしたり具合を悪くしたりすることがあります。そのようなことにならないように選択されるのが、鎮静法というわけです。
鎮静法には、麻酔薬を吸い込む「吸入鎮静法」や点滴による「静脈内鎮静法」などの種類があります。歯科医師と十分に相談して、適切な鎮静法を選択しましょう。
インプラント手術後の痛みは、適切なケアで軽減できます。手術後の痛みは一時的なもので、適切な処置を行うことで効果的に抑えられます。
手術後の痛みは、医師の指示に従って鎮痛剤を飲むことがおすすめです。鎮痛剤は痛みの原因となる炎症を抑制し、患者の不快な痛みを軽減します。
ただし、過度な摂取は体に悪影響を及ぼす可能性があるため、常に医師の指示に従うことが必要です。
手術部位の腫れや炎症を抑えるために、適度に冷やすことが効果的です。冷却は血流を減少させ、炎症や腫れの原因となる化学物質の拡散を抑える効果があります。
ただし、冷やしすぎは禁物です。血行が滞りすぎることで、傷口の治りやインプラントと骨の結合が遅くなります。冷やすときは、保冷剤や氷をそのまま当てるのではなく、タオルに包むようにしてください。
1〜2週間経っても痛みが続く場合は、歯科医師へ相談してください。痛みが続く場合は、以下のようなケースが考えられます。
特にインプラント周囲炎を発症している場合は、なるべく早く処置を進めないとインプラント失敗となる可能性もあります。
自己判断はせず、なるべく早く医師へ相談するようにしてください。
インプラント手術後の痛みや腫れは、事前の生活習慣の改善や術後の注意点によって大きく軽減できます。今回は、インプラント手術の痛みを予防する方法を以下の6つに分けてご紹介します。
インプラント治療前後は、禁煙の必要があります。インプラント治療が完了してからも、禁煙を続けていただくのが無難です。
喫煙によるニコチン・一酸化炭素の接種によって、インプラント周囲炎や歯周病の発症リスクが高まるためです。また、一酸化炭素によって体内の酸素運搬機能が低下し、インプラントが脱落する場合もあります。
そのため、インプラントを検討されている方は、必ず禁煙をするようにしましょう。
術後の早期回復のため、インプラント治療の前後はアルコールの摂取を控えることが推奨されます。
アルコールによって脱水症状が起こりやすくなり、唾液の分泌量が減ることでインプラント周囲炎のリスクが高まるためです。また、過度な飲酒は血液の流れを活性化させ、傷口の治りを遅くさせることも。
そのため、インプラント直後は飲酒を控えることをおすすめします。
インプラント手術後の食事は、柔らかくて温度の高くないものを選ぶことで、痛みや腫れを最小限に抑えることができます。
手術直後の口の中は非常にデリケートです。硬い食物や熱い飲み物は、傷口を刺激して痛みや腫れを悪化させたり、縫合した箇所が開いたりする可能性があります。
インプラント後は、ヨーグルトや豆腐といった柔らかい食事を選ぶことで、快適な回復期間を過ごすことができます。
手術後、歯ブラシは傷口に触れないようにすることが重要です。これにより、痛みを軽減し、感染のリスクも減らすことができます。
歯ブラシが手術部位に触れると、違和感や痛みを引き起こす可能性があります。
また、歯磨き粉が刺激物となることがあります。そのため抜糸までは歯磨き粉は使用せずに歯磨きするようにしてください。
手術後は熱いお風呂に入るのを避け、適温のシャワーにすることが推奨されます。湯船やサウナなどは血流を促進し、手術部位の痛みや腫れを悪化させる可能性があります。
インプラント手術後は、2〜3日も経過すれば湯船に浸かることも可能です。ですが、痛みが続いている場合は様子を見るようにしてください。
手術後数日は、運動を控えるようにしてください。激しい運動は心拍数を高め、血流が増加し、傷口の開きや治りを悪くする原因となります。
そのため、インプラント手術後1週間は控えるようにしてください。また運動だけでなく、体を動かすような業務についても休まれたほうが良いです。
インプラント手術中は、麻酔の使用によって痛みをおさえられます。
また、術後の痛みはアフターケアの取り組み方によって変わります。正確な情報を知り、適切なケアを行うことで、痛みは大幅に軽減することが可能です。
何より、信頼できる医師とのコミュニケーションが痛みを和らげる鍵となります。痛みに不安を抱いている方は、医師への相談を必ずおこなうようにしてください。
ソレイユデンタルクリニックでは、インプラントについてのご相談を随時受け付けております。術前・術後のケアまで徹底しておこなわせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
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