歯を失うと、人々の生活に大きな影響を及ぼしますが、インプラント治療であれば、失われた歯を元に戻すことが可能です。
しかし、すべての人がインプラント適応者であるわけではありません。このコラムでは、インプラントができない・難しいとされる人の条件と対処法を解説していきます。
これからインプラントを検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
インプラントは、治療を希望した誰しもができるというわけではありません。インプラントができない人の条件について、以下の9点について解説していきます。
インプラントは、フィクスチャーと呼ばれるインプラント体を骨に直接固定し、フィクスチャーに被せ物を装着する手法です。そのため、骨の密度や質が低いと、インプラントの安定性が低下し、長期的な成功率に影響を及ぼす可能性があります。
そして、骨粗鬆症の患者は特にこのリスクが高いとされています。
骨粗鬆症の患者でもインプラント治療を適応させるためには、骨造成によってフィクスチャーを埋め込む部分の骨密度を上昇させます。また、のちに解説するような治療方法を選択する場合もあります。
18歳以下の未成年者に対するインプラントは、通常は推奨されません。未成年は成長期のため骨が生成される段階にあり、顎へフィクスチャーを埋め込むことで成長を阻害する可能性があるためです。
ただし、インプラントを実施するかどうかは歯科・歯科医師の方針によって異なります。それぞれの医院で指示を仰ぎましょう。
基本的には、大人になってからのインプラントが推奨されています。気になる方は、顎の成長が止まっているかどうか、歯科にて精密検査を受けてみてください。
口腔内の状態が悪い、特に歯周病や虫歯がある人に対するインプラントの適用は推奨されません。これらの疾患は、インプラント成功率に悪影響を及ぼします。
歯周病は歯と歯肉を支える骨を破壊する炎症性疾患です。インプラントが必要とする健全な骨構造が損なわれるため、成功率が低下します。
虫歯も同様に、健康な口腔環境と反対の状態を作り出し、インプラント周囲の感染リスクを高めます。
歯周病や虫歯などの口腔内疾患をまずは治療し、健康な口腔環境を確立することが重要です。その後に、インプラントをおこないます。
糖尿病や高血圧などの持病がある人は、インプラントの適応を制限されることがあります。
糖尿病は、身体全体の治癒力を低下させ口腔内の感染リスクを高めるんです。特に、インプラント手術後の骨組織の治癒に悪影響を及ぼし、インプラントの成功率を低下させます。
高血圧は、手術中および術後の出血リスクを増加させ、手術の安全性と結果に影響を及ぼします。
持病を適切に管理し、安定化させることが必要です。その後、歯科医師と相談し、インプラントの適応を再評価します。
そのため、持病を完治させる必要はないですが、症状の正しいコントロールが必要です。
妊娠中の女性は、インプラント手術を避けるべきです。
インプラント手術本番だけでなく、各種検査からさまざまなストレスがかかることはもちろん、インプラント終了までの時間もかかります。そのため、どの歯科でも妊娠中のインプラントは推奨されていません。
インプラントは、出産後に進めることが推奨されます。出産直後は母子ともに体調が不安定なため、体調や生活環境などいろいろと落ち着いてから歯科を受診されるのがおすすめです。
血液透析を必要とする腎疾患を有する人は、インプラントの適応を制限されることがあります。
透析患者は免疫力が低下しており、手術後の感染リスクが増加します。また、血液透析により骨密度が低下し、インプラントの安定性が損なわれる可能性があります。
血液透析をおこなっている方は、インプラント以外の治療方法を選択してください。
軽度の腎疾患であればインプラント可能な場合もあるため、内科の主治医に相談してみてください。
タバコを吸っている場合は、インプラント手術後にインプラント周囲炎という歯周病を引き起こす可能性があり、インプラントをおすすめしていません。
歯周病になってしまうと、骨の中に埋め込んだフィクスチャーが脱落する可能性が高まるためです。
タバコを止めることが、インプラントの成功を高める最善の対処法です。
歯科医師は、インプラント手術前に喫煙のやめ方についてのアドバイスをできます。ぜひ相談してみてください。
インプラントを考慮する際には、手術後の定期的なメンテナンスが重要なため、メンテナンスに通えない人へインプラントはおすすめできません。
インプラントは生涯にわたるケアが必要となります。手術後も定期的な検診とプロフェッショナルクリーニングが必要です。
これらのメンテナンスが不適切だと、インプラントの周囲炎や骨吸収などの問題が発生し、インプラントの寿命が縮まる可能性があります。
インプラントのメンテナンスについて必要性を理解し、きちんと通うようにしましょう。
また、継続的なケアが難しい場合は、インプラント以外の代替治療法を検討することが一つの対処法です。ブリッジや部分義歯など、他の治療法は維持管理が比較的容易なことが多いです。
インプラントは外科手術のため、麻酔が必須となります。そのため、麻酔をかけたくないという方はインプラントを受けられません。
麻酔のなかには、できるだけ痛みを伴わないようにする方法があります。どのような麻酔方法があるのか、インプラントのカウンセリング時に医師へ質問してみてください。
インプラントを希望している方の中には、骨が不足している方もいます。そのような方でも有効なインプラント治療法があるため、7種類の治療法を解説します。
ソケットリフトは、歯が失われた部位にただちに人工骨を充填し、その上からインプラントを埋入する方法です。歯根抜去後の骨量不足を改善するのに有効な手法となっています。
この手法により、抜歯後の骨吸収を抑え、良好な骨量と骨質を確保できます。
サイナスリフトは、上顎後部の骨が薄い場合に有効な手法です。
サイナスリフトは、上顎洞(サイナス)の底を持ち上げ、その下に人工骨を充填することで、骨の高さを増やします。上顎後部の骨が薄い場合、これにより適切な骨量が得られ、インプラントの安定した埋入が可能になります。
GBRは、骨の幅が不足している場合に有効な手法です。人工骨とバリアーメンブレンを使用して新たな骨を形成し、骨の幅を増やします。
これにより、骨の幅が不足している場合でも、適切な骨量を得てインプラントを安定させることが可能になります。
ソケットプリザベーションは、抜歯後すぐにおこなわれ、骨吸収を抑制するのに有効な手法です。抜歯直後に人工骨を充填し、骨吸収を防ぎます。
この方法により、抜歯後の骨の吸収を最小限に抑え、インプラント埋入に適した環境を維持することが可能になります。
CTGは、歯肉の厚さを増すための手法で、インプラント治療の成功率を高めることが可能です。CTGは、口腔内の他の部位から組織を採取し、移植することで歯肉の厚さを確保します。
スプリットクレストは、骨の縦溝を創作し、その間に人工骨を挿入することで、骨の幅を増す手法です。
骨の幅が狭い場合に有効な治療法で、インプラントを安定させられます。
エクストルージョンは、抜歯後の歯槽骨を慎重に引き上げることで、新しい骨が形成されるのを助ける方法です。
骨の高さを増やすための治療法で、インプラント治療に適した環境を提供できます。
インプラントは、歯の再生に非常に効果的な治療法ですが、すべての人が治療を受けられるわけではありません。
それぞれの身体状況やライフスタイルを理解し、適切な対処法を見つけることが重要です。
自分はインプラントができるのか、インプラントができないのであればどのような治療があるのか、医師と十分に相談して正しく治療を進めるようにしましょう。
ソレイユデンタルクリニックでは、インプラントについてのご相談を随時受け付けております。術前・術後のケアも徹底しておこなわせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
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