「インプラントをしたいけど、どのくらいの期間がかかるのか知りたい」とお考えの方は多いのではないでしょうか。インプラントは生活に影響のある治療方法ですから、治療期間を決めることはスケジュールを立てるうえでも大切です。
そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。
これからインプラントを受けたいと考えている方は、インプラントの治療期間について正しく理解し、安心して治療に臨みましょう。
インプラント治療は、通常の歯科治療に比べて時間を要することが多いです。最短で3か月、平均で6か月、複雑なケースでは1年近くかかることもあります。治療期間は患者の症状によって大きく異なります。
インプラント治療の手術は1〜2回のみで、大掛かりな治療が長期間続くわけではありません。ではなぜ最長1年程度の時間を要すのかというと、インプラントと骨の結合を待つ必要があるためです。
インプラント治療は顎の骨にインプラント体を埋め込む手術をおこないますが、埋め込んだインプラント体が正常に骨と結合しない場合、インプラント失敗となることもあります。そのため、長い時間をかけて骨との結合を待つ期間は特に重要な段階といえます。
インプラントの失敗については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
インプラント治療期間に差が出る主な理由は、患者一人ひとりによって口腔内の状態が違うからです。
顎の骨が十分で健康な歯ぐきの人は、すぐに手術を受けられ、骨とインプラントの結合も迅速に進みます。一方で、歯周病や骨量不足の人は、歯肉の治療や骨造成手術が必要になったり、骨との結合に時間がかかることがあります。
インプラント治療は手術をしたら終わりというわけではなく、いくつかの流れを経て完了する治療です。今回は、インプラント治療を以下4つの段階に分けて、それぞれどのくらいの期間を要すのか、注意点は何かを解説していきます。
インプラント治療においては、患者の口腔内状態や全身の健康、喫煙歴などを綿密に問診し、治療計画を立案します。歯科医による口内のチェックで、むし歯や歯周病の有無、噛み合わせの状態が評価されます。
特に重要なのは、顎の骨の状態をレントゲンで詳細に確認することです。また、口腔内CTを用いて、失われた部分の骨量や質感を3次元で詳細に把握し、神経や血管、残存歯との関係も正確に分析します。この情報を基に、患者に最適な治療計画を立てます。
歯科医によるチェック次第で、必要に応じて以下の治療が実施されます。
これらの処置を適切におこなうことで、インプラント治療の成功率が高まります。特に、歯周病により歯茎の状態が悪い患者の場合、インプラント手術前に歯茎の治療が必要となります。重度の歯周病で顎の骨量が減少している場合には、さらに造骨治療や人工骨の埋入手術が必要になることも。
また、全身疾患や糖尿病、骨量不足などの状態によっては、治療開始前にさらなる準備が必要です。
患者個々の状態に合わせた適切な事前治療は、インプラント治療全体の期間に影響を与えるため、十分な診断と計画が重要となります。
インプラントの土台となる人工歯根(フィクスチャー)を顎の骨に穴を開けて埋入する手術です。
手術には1回法と2回法があり、口腔内の状況などによって歯科医師が判断します。手術自体は麻酔を使っておこなわれ、入院の必要はありません。
埋入手術の際、人工歯根と接続部となるアバットメントが一体型になったフィクスチャーを一度に埋入します。アバットメントを装着する処置を省略できるため、手術が埋入時の1回で済みます。埋入手術にかかる時間自体は、2回法の1回目とさほど変わりません。
1回法は、顎の骨がしっかりと安定しやすい方や、細菌感染のリスクが低い方(装置が歯茎から出たままになるため)などに選択される方法です。
まず1回目の手術で人工歯根を顎の骨に埋入し、安定するまで歯肉を縫合して定着期間を置きます。手術時間は1~3時間です。
その後土台が安定した頃、再度歯ぐきを切開して人工歯根を露呈させ、そこに人工歯と連結させる装置のアバットメントを装着する2回目の手術をおこないます。
口腔内の環境を考え、細菌感染のリスク回避や人工歯根の安定を図るために2回に分けた方がよいと判断された場合におこなわれる方法です。
インプラント治療において重要なのは、インプラントと顎の骨がしっかりと結合するまでの治癒期間です。この期間は、患者の骨の状態や健康状態によって異なり、早い方では2~3ヶ月で結合することもありますが、6ヶ月以上かかる場合もあります。手術後のケアが成功への鍵を握るため、以下の行動は避けるようにしてください。
特に、舌や指で患部に触れることは感染のリスクを高め、喫煙は血行を悪化させることで骨とインプラントの結合や創傷治癒に悪影響を与える可能性があります。したがって、手術後の生活環境や行動を術前に整えておくことが、治癒期間中の成功には不可欠です。
インプラント体が定着するまでの期間では、食べ物にも注意が必要です。以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
インプラント体を埋め込む手術をおこなってから、骨との定着を待ち人工歯を装着するまでの期間では、一時的に「歯がない期間」が生まれます。この間、隣接する歯を利用した仮歯や入れ歯を使用するため、歯がない状態で過ごすことはほとんどありません。
仮歯期間は、最終的な人工歯の見た目や機能をテストする役割を持ち、歯茎の適応を促します。そのため、実際の人工歯装着時の異物感に慣れるためにも重要です。
「インプラントの歯がない期間」については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
インプラントの土台が安定し、切開した歯ぐきの傷が治ったあと、人工歯をセットします。1回法・2回法のどちらを選択しても同じプロセスです。
噛み合わせの確認後、人工歯をアバットメントに連結し、いよいよインプラント治療が完了します。
インプラント治療期間が長期化する要因としては、主に以下の3つがあります。
この治療では、骨移植・サイナスリフト・ソケットリフトといった手法を用いて顎の骨量を増やします。これらが完了してからインプラント体の埋入手術に進むため、全体の期間が延長されることが一般的です。
骨誘導再生では、インプラントの埋入と同時に骨補填剤を用いて骨量を増やします。特殊な人工メンブレンを使用して骨の再生を促進し、インプラントの固定と骨の強化を図る工程です。
骨誘導再生は、別の顎の骨を増やす手法と比較して、治療期間が短縮されるメリットがあります。
重度の歯周病が原因で歯ぐきが後退している場合、インプラントを支えるための顎の骨が露出するリスクがあります。このような状況では、歯肉移植手術が必要となる場合があります。
歯茎の移植手術後、歯肉が完全に回復するまでの期間を経て、インプラント体の埋入が行われます。
インプラント治療が完了し、人工歯が装着された後も、口内の状態を維持することは非常に重要です。
インプラント治療後に口内の衛生管理を怠ると、インプラント周囲炎という感染症を引き起こすリスクがあるためです。インプラント周囲炎を発症することで、インプラント体が骨から脱落し手術が失敗する可能性があります。
そのため、インプラントの寿命を延ばすためにも、定期的に歯科検診を受けるようにしましょう。
歯科検診では、噛み合わせのチェックや汚れの確認・除去などのメンテナンスがおこなわれます。これにより、インプラント治療の成果を長期にわたって維持することができるのです。
インプラントの治療期間は、3ヶ月〜12ヶ月程度です。一人ひとりの口内状況により治療期間が変化するため、気になる方は一度歯科医師に相談して治療期間を概算で出してもらうのが良いでしょう。
インプラント治療はいくつかの流れがあるため、各段階で必要な期間を理解し、適切なケアをおこなうことが治療成功の鍵です。今回ご紹介した注意点を踏まえ、健康な口内環境の維持とインプラント手術の成功を目指しましょう。
ソレイユデンタルクリニックでは、インプラントについてのご相談を随時受け付けております。術前・術後のケアまで徹底しておこなわせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
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