インプラント治療中の仮歯は、見た目だけでなく、治療を成功させるためにも欠かせない役割を果たします。
しかし、仮歯をいつ装着するのか、どのように管理すればよいのかなど、疑問に感じる方も多いはずです。
そこでこの記事では、「仮歯を装着する目的と4つの重要な役割」「装着時期」「使用期間」「仮歯を使用する際の注意点」について詳しく解説しています。
この記事を読むことで、インプラント治療における仮歯について正しい知識を理解し、より安心して治療に臨めるようになるでしょう。
インプラント治療を控えている方や、仮歯の使用に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療は、まず人工の歯根となるインプラント体を顎の骨に埋め込みます。歯茎を切開して顎の骨に専用の穴を開け、そこにインプラント体を設置するのです。この手術後、インプラントが骨や周囲の組織としっかり結合するまでには数ヶ月の時間が必要となります。
この治療期間中の「歯がない期間」を補うために、仮歯を使用します。仮歯があれば、見た目や機能を維持でき、安心して日常生活を送ることができるようになるのです。
また、周囲の歯の移動を防ぎ、最終的なインプラント治療もスムーズに進めることができます。
インプラント治療中に使用する仮歯は、主に以下の4つの重要な役割があります。
それぞれの役割について詳しく解説します。
インプラント治療中の仮歯は、見た目を自然に保つ重要な役割があります。特に前歯の場合、歯が欠けていると見た目に大きな影響を与えます。仮歯があれば、人と会う際の不安も解消され、自信を持って笑顔になれるでしょう。
インプラント治療後に歯がない期間が続くと、発音にも影響を及ぼし、会話の際に支障をきたすことがあります。そこで仮歯をつけることで、息の漏れを防ぎ、正確な発音ができるようになります。
特にサ行やタ行など、前歯を使う発音をスムーズにできるため、日常からビジネスシーンまで会話を楽しめるようになるでしょう。
仮歯を使用することで、噛み合わせや歯並びを維持できます。
歯が抜けた部分があると、周囲の歯がその隙間を埋めるように少しずつ移動していきます。歯は1ヶ月に約1mmずつ動くと言われており、半年の治療期間で最大6mmも位置がずれる可能性があるのです。
歯の移動は、噛み合わせの悪化を招き、頭痛や肩こり、顎関節症などの原因にもなりかねません。また、作成した人工歯が合わなくなる可能性もあるため、仮歯を入れる必要があります。
口内には多数の常在菌が存在しており、中には歯周病やインプラント周囲炎の原因となる細菌も含まれています。仮歯を装着することで、これらの細菌から治療による傷口を守り、炎症のリスクを減らすことが可能です。
また、温度変化や歯ブラシによる刺激からも保護し、治療部位の治癒を促進する役割もあります。
インプラントによる仮歯の装着は、手術当日または抜糸後におこないます。
手術当日に仮歯を装着できるのは、骨の状態が良好で、骨の再生や造成が不要であり、噛み合わせに問題がない場合です。これらの条件を満たさない場合は、抜糸後まで待つ必要があります。
抜糸は通常、手術から7日後〜10日後におこないます。インプラント埋入後に縫合した歯茎の傷が安定したことを確認してから抜糸し、その後仮歯を装着します。
特に前歯の場合は見た目への影響が大きいため、できるだけ早く仮歯を装着するのが一般的です。一方、奥歯の場合は口腔内の状態によって、仮歯を装着しないケースもあります。
なお、手術当日の仮歯装着が可能かどうかは歯科医院によって判断が異なります。手術直後からの仮歯装着をご希望の場合は、事前に担当医に相談しましょう。
インプラント治療中の仮歯の期間は、インプラント体の埋入手術後から人工歯を入れるまでの期間(インプラント体と骨が結合するまでの期間)です。仮歯を使用する期間は、患者さんの症状や治療内容によって変わってきます。
一般的な治療では3〜4ヶ月程度ですが、骨の量が少なく骨移植が必要な場合は、6ヶ月以上かかることもあります。
また上顎の奥歯で、上顎洞底挙上術(サイナスリフト)をおこなう場合は、治療期間が8ヶ月以上に及ぶこともあるでしょう。
特に骨移植をした場合は、移植した骨が十分に定着するまでしっかりと時間をかける必要があります。焦って早めに人工歯を入れてしまうと、治療が失敗するリスクが高まってしまいます。
治療期間については、担当医とよく相談しながら、最適な治療計画を立てていきましょう。
インプラント治療中の仮歯使用には、主に以下の4つの注意点があります。
それぞれの注意点について詳しく解説します。
仮歯は通常の歯と比べて強度が低いため、食事の内容には注意が必要です。
硬いものを噛んだり、粘り気の強いものを食べたりすると、仮歯が外れたり破損したりする可能性があります。
また、熱いものや冷たいものも刺激となり、治療部位に悪影響を与えることがあるでしょう。
仮歯周辺は、丁寧なブラッシングが必要です。
ただし、強い力で磨きすぎると仮歯が外れたり、歯茎を傷つけたりする可能性があります。柔らかい歯ブラシを使い、歯と歯茎の境目を特に丁寧に磨きましょう。
また、歯間ブラシや糸ようじを使用する際も、力の入れ具合に気をつけましょう。
仮歯の状態で治療を中断してしまうと、歯茎の状態悪化や、周囲の骨が痩せてしまう可能性があります。また、周囲の歯が移動して噛み合わせが悪くなる場合もあります。インプラント治療の計画に沿って最後までおこないましょう。
万が一仮歯が外れてしまった場合は、決して自分で戻そうとせず、すぐに歯科医院に連絡しましょう。放置すると歯茎に炎症が起きたり、周囲の歯が移動したりする可能性があります。
また、外れた仮歯は清潔に保管し、できるだけ早めに受診するようにしてください。
今回は「インプラント治療中の仮歯の必要性」また「仮歯の重要な役割と注意点」について解説してきました。
仮歯は単なる見た目のためだけではなく、インプラント治療を成功に導くためにも重要です。
今後、インプラント治療を検討している方や仮歯の使用に不安を感じている方は、本記事の内容を参考に、担当医とよく相談しながら治療を進めてください。仮歯について正しい理解を持つことで、より安心して治療に臨むことができるでしょう。
ソレイユデンタルクリニックでは、インプラントについてのご相談を随時受け付けております。術前・術後のケアまで徹底しておこなわせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
午前 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ● | ● |
午後 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ● | ● |
午前:10:00~13:00
午後:14:30~19:00
●:9:30~12:30/13:40~17:30
休診日:水曜・祝日