インプラント手術が決まり、「インプラント手術後はどれくらい痛むの?」「翌日から仕事や家事は普通にできるの?」と不安な気持ちになっていませんか?
初めての手術だと、何を準備しておけばいいのか分からず、高額な治療だけに「もし自分の不注意で失敗したらどうしよう」というプレッシャーも感じてしまいますよね。
インプラント治療の成功は、手術そのものの技術はもちろんですが、その後の過ごし方にも左右されます。傷口を早く治し、インプラントと骨をしっかりと結合させるためには、術後にやってはいけないこと、やるべきことを正しく理解しておきましょう。
この記事では、手術当日から抜糸までの期間を中心に、食事や歯磨き、入浴、運動など、日常生活で気をつけるポイントを解説します。
痛みや腫れが出たときの対処法もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
インプラント手術後の食事で気を付けるポイントは、以下の6つです。
1つずつ解説します。
インプラント手術後は、硬いもの、熱いもの、辛いもの、そしてお餅やガムのように粘り気のある食べ物は避けてください。
せんべいのような硬い食べ物は、傷口に当たって出血や痛みの原因に、熱いスープや辛い香辛料は、患部を刺激して炎症を悪化させるリスクがあります。また、お餅やガムは傷口にくっついたり、インプラントに強い力がかかったりする場合があります。
傷が落ち着くまでの数週間は、お口に優しい食事を選びましょう。
インプラント手術当日から抜糸までの約1〜2週間は、以下のように柔らかく、噛まずに食べられるものや、あまり熱すぎないものがおすすめです。
傷口の治りや出血、痛みに悪影響を与えない食事を心がけましょう。
傷口を刺激したり、血行を良くして出血や痛みの原因になったりするものは、抜糸が終わるまで、あるいは医師の許可が出るまで避けるのが安心です。
ご自身の状態に合わせて、無理のない範囲で食事を摂り、不明な点は担当の歯科医師にご相談ください。
先述にもあるとおり、インプラント手術当日から抜糸(約1~2週間後)までの期間は、お粥、スープ、ヨーグルト、ゼリー、豆腐など、噛まなくても食べられる柔らかい食事を中心にしてください。手術した場所はデリケートな状態であり、食べ物を噛む力で負担をかけないことが重要です。
また、麻酔が切れたあとも痛みや腫れが出やすいため、できるだけ口を動かさなくても食べられるものがおすすめです。体力を落とさないよう、食べやすいものでしっかり栄養を摂りましょう。
傷の治りを早くするためには、栄養バランスを意識した食事を心がけてください。
インプラント手術でダメージを受けた歯茎や骨が回復するには、十分な栄養が必要です。とくに、体の組織を作るもとになるタンパク質(肉、魚、卵、豆腐など)や、粘膜の健康を保つビタミン類(野菜、果物)がおすすめです。
柔らかいものばかりで栄養が偏りやすい時期ですが、おかゆに卵を入れたり、野菜スープを飲んだりして、回復を助ける食事を工夫しましょう。
食事の際は、手術した側では噛まず、反対側の健康な歯を使って食べるように細心の注意を払ってください。
手術したばかりのインプラントは、まだ骨と結合しておらず不安定な状態です。そこに噛む力が加わると、インプラントが動いてしまったり、傷口が開いたりする原因となり、最悪の場合インプラントが抜け落ちるリスクもあります。
食事がしにくくても、インプラントが骨としっかりくっつくまでの数カ月間は、患部を守る意識が大切です。
インプラント手術後は、少なくとも1週間程度アルコールを飲むのは控えてください。
アルコールには体中の血の流れを良くする作用があるため、手術した場所の血流も活発になり、血が止まりにくくなったり、再び出血したりする原因になります。また、アルコールは体の免疫力を下げ、傷口が細菌に感染しやすくなるリスクも高めます。
傷がしっかり治るまでは、ノンアルコールで過ごしましょう。
インプラント手術後に飲み物を飲む際、ストローを使用は避けてください。
ストローで液体を吸い込む力は、口腔内の圧力を変化させます。この圧の変化が、手術した場所の傷口をふさいでいるかさぶたを剥がすリスクがあるのです。かさぶたが剥がれると、出血が再発したり、骨が露出して激しい痛みを引き起こすドライソケットの原因になったりします。
飲み物を飲むときは、コップから直接ゆっくりと飲むようにしましょう。
インプラント手術後の過ごし方で気を付けるポイントは、以下の7つです。
1つずつご紹介します。
インプラント手術当日から数日間は、激しい運動や長時間の入浴(湯船につかる)を控えてください。激しい運動や長時間の入浴をおこなうと全身の血行が良くなり、手術した場所の傷口から再び出血したり、痛みや腫れが悪化したりする原因になります。
手術当日はシャワー程度にして、湯船につかるのは医師の許可が出てからにしましょう。ジムでのトレーニングやランニングなども、傷口が落ち着くまではお休みするのが安全です。
インプラント手術後は、喫煙は控えてください。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、傷口への血流を悪くするため、傷の治りが遅れたり、細菌への抵抗力が弱まって感染しやすくなったりします。また、インプラントと骨が結合するのを妨げる原因にもなります。
手術の成功率を下げないためにも、手術前から手術後、できれば将来にわたって禁煙するのが理想です。
手術した場所が気になっても、指や舌で絶対に触らないようにしてください。
インプラント手術後の傷口はデリケートな状態です。指や舌で触ると、そこから細菌が入って感染症を引き起こす場合があります。また、縫い合わせた糸が取れたり、傷口が開いたりする原因にもなりかねません。
血の味が気になる場合もありますが、インプラントがうまく固定されるためにも、我慢して刺激を与えないようにしましょう。
手術した場所の歯磨きや、強すぎるうがいは手術当日から数日間控えましょう。歯ブラシが傷口に当たると、痛みが出たり傷口が開いたりするリスクがあります。手術した場所以外の歯は、優しく丁寧に磨くのがポイントです。
また、手術後は出血を止めるための血餅(けっぺい)というカサブタができます。激しくうがいをすると、カサブタが剥がれてしまい、傷の治りが遅れる原因となります。処方されたうがい薬を使う場合も、口に含んで静かに吐き出す程度にしてください。
インプラント手術後は、十分な睡眠と休息をとり、できるだけ安静に過ごすのが回復を早めるポイントです。
手術は、患者さん自身が思うよりも体に負担をかけています。疲労がたまっていると、体の免疫力が下がり、傷の治りが遅くなったり、感染しやすくなったりします。
とくに手術当日から2~3日は、無理なスケジュールを入れず、家でゆっくりとリラックスして過ごすよう心がけましょう。しっかり体を休めると、痛みや腫れも早く引きやすくなります。
歯科医院から処方された抗生剤や痛み止めは、医師の指示通りに服用してください。
抗生剤は、手術した場所が細菌に感染するのを防ぐために処方されます。痛みがなくても、処方された分は最後まで飲み切りましょう。自己判断でやめてしまうと、薬が効かない菌が生き残る場合があります。
また、痛み止めは痛みを我慢せず、早めに服用するのが楽に過ごすコツです。
決められた用法・用量を守り、正しく薬を使うと、手術後の不快な症状を和らげられます。
インプラント手術当日から2~3日は、仕事でも無理に動かず安静に過ごすのが望ましいです。
デスクワークであっても、長電話や会議などで話し続けると、口周りを動かして傷口に負担がかかる場合があります。また、緊張やストレスで血圧が上がると、出血の原因にもなりかねません。
とくに重い荷物を持つ力仕事や、体を激しく動かす業務は、血流が大幅に増加するため避けてください。
可能であれば手術当日は休みを取り、翌日以降も体調を見ながら徐々に復帰するのが理想です。
インプラント手術後の痛みは、一般的に手術当日と翌日をピークに、数日から1週間程度で徐々に治まっていくのが一般的です。痛みと同時に腫れが出る場合もありますが、1週間から10日ほどで引いていく傾向にあります。
ただし、痛みの感じ方や期間には個人差があり、手術範囲によっても変わります。通常は処方される痛み止めで十分対応できる程度の痛みです。
1週間以上経っても強い痛みが続く場合は、すぐに歯科医院へ連絡しましょう。
インプラント手術後に痛み・腫れ・出血が出たときの対処法は、以下の4つです。
1つずつ見ていきましょう。
インプラント手術後の痛みに対しては、歯科医院から処方された痛み止めを指示通りに服用してください。麻酔が切れると痛みを感じやすくなるため、我慢せずに早めに飲むのがおすすめです。
ただし、飲む量や間隔は医師の指示を守る必要があります。市販の鎮痛剤を自己判断で追加して飲むのは避けてください。
処方された薬をすべて飲んでも痛みがまったく引かない場合は、我慢せずに歯科医院へ相談してください。
インプラント手術後の腫れを抑えるには、患部を濡れタオルや冷却シートで頬の外側から間接的に冷やすのが有効です。
ただし注意点として、氷や保冷剤を直接当てて冷やしすぎると、血流が悪くなりすぎて逆に治りを遅らせる場合があります。あくまで「熱を持っているのを冷ます」程度が目安です。
腫れは手術による炎症反応で、術後2~3日をピークに引いていきます。腫れが何日も引かない、または悪化する場合は、感染症の可能性も考えられるため、歯科医師へご相談ください。
インプラント手術後の出血が続く場合は、清潔なガーゼを丸めて患部に当て、20~30分ほどしっかり噛んで圧迫止血をおこなってください。
唾液に少量の血が混じるのは、じわじわとした出血であり、異常ではありません。ガーゼを噛んで押さえると、ほとんどの場合は止血されます。
ただし、血が止まらないからといって何度も強くうがいをするのは逆効果です。傷口をふさぐ血餅というかさぶたのようなものが取れてしまい、治りが悪くなる原因になるため注意しましょう。
痛み止めを飲んでも耐えられないほどの強い痛みや、術後3日を過ぎても腫れが引かない、むしろ悪化している場合は、すぐに病院へ連絡してください。また、ガーゼで圧迫しても鮮やかな赤い血が流れ出るような出血が止まらないときも、我慢せずに相談が必要です。
これらは感染や縫合不全など、何らかのトラブルが起きている場合があります。自己判断で様子見することなく、手術を受けた歯科医院に連絡しましょう。
インプラント手術後、通常の過ごし方に戻れる目安は、抜糸をしてから約1週間~2週間後です。
手術後の痛みや腫れのピークは2~3日程度で、その後徐々に落ち着いていきます。そして、手術から1~2週間後に傷口の抜糸をおこなうと、日常生活での制限は少なくなります。
たとえば、食事も少しずつ普通の硬さのものを食べられるようになり、運動も軽いウォーキング程度なら再開できる場合がほとんどです。
ただし、インプラントと骨がしっかり結合するまでには数カ月かかります。硬い食べ物や激しいスポーツは、必ず医師の許可が出てからにしてください。
インプラント手術後の過ごし方で大切なのは、手術当日から数日間は激しい運動や長時間の入浴を避け、患部を刺激せずに安静に保つことです。
食事はうどんやお粥など柔らかいものを中心にし、歯磨きは患部を避けて優しくおこなうなど、日常生活での配慮が傷の治りを早め、インプラントの定着を助けます。
インプラント手術後に痛みや腫れが出るのは体の正常な反応で、処方薬の正しい服用でコントロールでき、時間の経過とともに落ち着いていきます。
歯科医師の指示に沿った過ごし方を心がけ、安心して回復を待ちましょう。
ソレイユデンタルクリニックでは、インプラントのご相談を随時受け付けております。術前・術後のケアまで徹底しておこなわせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
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