「インプラント治療に興味はあるけど、どんな良い点や悪い点があるんだろう?」「手術って聞くし、費用も高いって聞くから不安」とお考えではありませんか?
インプラントは、失った歯の機能を回復させ、美しい口元を取り戻せる画期的な治療法です。しかし、外科手術が必要なことや費用が高額になるなど、気になる点も少なくありません。
このコラムでは、そんなあなたの疑問や不安を解消するために、インプラント治療のメリットとデメリットを徹底的に解説します。
インプラント治療を検討している方にとって、後悔のない選択をするための判断材料となるよう詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に、チタンなどで作られた人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を装着して噛む機能と見た目を回復させる治療法です。顎の骨に直接固定するため、自分の歯のような安定感と見た目を得られるのが特徴です。
ブリッジのように隣の歯を削ったり、入れ歯のようにほかの歯にバネをかけたりする必要がなく、インプラント一本で独立して機能させられます。インプラント治療によって、残っている健康な歯に負担をかけずに、食事や会話を心から楽しむ生活を取り戻せます。
インプラント治療のメリットは、以下の5つです。
それぞれ解説します。
インプラントにすることで、天然の歯に近い咀嚼能力を回復できます。インプラントが顎の骨と直接結合(オッセオインテグレーション)するため、強固な土台となります。
たとえば、部分入れ歯は「天然歯の20〜30%程度」の力でしか噛めないのに対し、インプラントは「80%以上の咀嚼能力」の回復が可能です。結果的に、避けていた硬い食べ物や繊維質な野菜などがある場合も、気にせず楽しめるようになります。
インプラントは、見た目が自然で、審美性にも優れています。人工歯の部分には、天然の歯と見分けがつかないほどの色や透明感を再現できるセラミックなど、高品質な素材が使用されています。
また、入れ歯のような金属のバネが見えることもなく、歯茎から直接歯が生えているように見えるため、口元の美しさを損ないません。人前での会話や笑顔に抵抗がなくなり、自信を持ってコミュニケーションが取れるようになります。
インプラント治療は、失った歯の両隣にある健康な歯も守れます。インプラントは、歯を失った部分に対し1本だけで治療が完結するためです。
たとえばブリッジ治療の場合は、支えにするための両隣の健康な歯を大きく削る必要がありますが、一度削った歯はもろくなり、寿命が縮まるリスクが高まります。しかしインプラントの場合は、健康な歯を傷つけずに治療が可能なため、将来的に多くの歯を健康に保ちたいと考える方にもおすすめの治療法です。
インプラントは、顎の骨が痩せてしまう「骨吸収」を防ぐ効果が期待できる治療法です。
歯を失うと、その部分の顎の骨は刺激がなくなるため、時間とともに徐々に痩せてしまいます。しかし、インプラントは顎の骨に直接埋め込むため、噛むたびに自然な刺激が骨に伝わり、骨の健康を維持しやすいです。
骨が痩せると顔の輪郭が変わって老けた印象になるケースもありますが、インプラントはそのような変化の防止にもつながります。
インプラント治療は、生活の質そのものを向上させられる治療法です。以下のような日々のあらゆる場面で自信と快適さを取り戻せます。
入れ歯のようにズレたり外れたりする心配や、毎日の着脱の手間からも解放されます。インプラント治療を通じて、単に歯を補うだけでなく、心身ともに健康で豊かな毎日を送ることが可能です。
インプラント治療のデメリットは、以下の4つです。
ひとつずつ解説します。
インプラント治療は、基本的に公的医療保険が適用されない自由診療です。そのため、治療にかかる費用は全額自己負担となり、ほかの治療法に比べて高額になる傾向があります。
インプラント1本あたりの費用相場は「約30〜40万円程度」で、使用する材料や骨を増やす追加手術の有無によって変動しやすいです。
ただし、年間の医療費が一定額を超えた場合に税金が還付される「医療費控除」の対象にはなります。治療を検討する際は、事前に歯科医院から詳細な見積もりを取り、費用を十分に納得したうえで進めるのが重要です。
インプラント治療は、歯茎を切開して顎の骨にインプラント体を埋め込む外科手術が必要です。手術である以上、術後の痛みや腫れ、出血などを伴う場合もあり、身体的な負担は避けられません。
また、高血圧や糖尿病などの全身疾患がある場合や、骨粗しょう症の薬を服用している場合は、手術ができないケースもあります。手術への不安が強い方や、体力に自信のない方にとっては大きなハードルとなるかもしれません。
インプラントは治療が終わったら完了ではなく、長期的に良い状態を保つためには定期的なメインテナンスが欠かせません。インプラント自体は虫歯になりませんが、周囲の歯茎は歯周病に似た「インプラント周囲炎」になるリスクがあります。
インプラント周囲炎を放置すると、最悪の場合インプラントを支える骨が溶けてしまい、インプラントが抜け落ちる場合もあります。そのため、毎日の丁寧なセルフケアに加え、数カ月に一度は歯科医院で専門的なクリーニングや噛み合わせのチェックが必要です。
外科手術であるインプラント治療は、細菌感染のリスクがゼロではありません。手術中の衛生管理が不十分であったり、術後のケアを怠ったりすると、傷口から細菌が入り込んで炎症を起こす場合もあります。
とくに注意が必要なのが「インプラント周囲炎」です。インプラント周囲炎は、自覚症状がほとんどないまま進行する場合も多く、気づいた時には手遅れになっているケースも少なくありません。
インプラント治療を成功させて長く使い続けるためには、信頼できる衛生管理体制の整った歯科医院を選び、治療後のケアを徹底する必要があります。
インプラント治療では、以下の治療段階に応じて起こりうるトラブルと注意点が存在します。
それぞれ解説します。
インプラントの治療中に起こりうるトラブルは、以下の4つです。
ひとつずつ解説します。
下顎のインプラント手術では、顎の骨の中を通る太い神経(下歯槽神経)を損傷してしまうリスクがあります。この神経を傷つけると、手術後に下唇や顎、舌の一部に麻痺やしびれが残る「下歯槽神経麻痺」を引き起こす場合もあります。
そのため、手術前にはCT検査で神経の位置を3次元的に正確に把握し、十分な安全域を確保したうえで手術計画を立てることが不可欠です。万が一の事態を防ぐためにも、CT設備を備えた医院を選ぶようにしましょう。
上顎の奥歯部分の骨の上には、「上顎洞」と呼ばれる鼻に通じる大きな空洞があります。上顎の骨の厚みが足りない場合にインプラントを埋め込むと、この上顎洞を突き破ってしまい、蓄膿症に似た症状(上顎洞炎)を引き起こすリスクがあります。
基本的に骨の厚みが不足しているケースでは、「サイナスリフト」や「ソケットリフト」といった骨を増やすための追加手術が必要です。これらの処置には高度な技術が求められるため、経験豊富な医師による診断と治療が求められます。
埋め込んだインプラントが、まれに顎の骨としっかり結合しない「オッセオインテグレーション不全」といった状態に陥る場合もあります。主な原因は、以下のとおりです。
骨と結合しなかった場合は、一度インプラントを除去し、原因を改善したうえで再手術の検討が求められます。生活習慣の見直しや持病の管理など、患者自身の協力も、インプラントの成功には欠かせません。
インプラント手術後の腫れや痛みは、通常2〜3日をピークに1週間程度で徐々に治まっていきます。しかし、この症状が1週間以上経っても改善しない、あるいは悪化するような場合は注意が必要です。
その背景には、手術部位の感染や、血の塊(血餅)がうまく形成されずに骨が露出してしまう「ドライソケット」などの問題が隠れている場合もあります。
もし治療後に異常を感じたら、自己判断で放置せず速やかに手術を受けた歯科医院に連絡し、適切な処置を受けるのが重要です。
インプラントの治療後に起こりうるトラブルは、以下の6つです。
それぞれ解説します。
インプラントは以下の3つのパーツで構成されており、これらはネジで固定されています。
しかし、長期間使用していると、噛む力の影響でこのネジの緩みや折れが生じる場合があるのです。また、歯ぎしりや食いしばりの癖が強い方や、事故などで強い衝撃が加わった場合には、人工歯そのものが欠けたり、外れたりするリスクも考えられます。
定期的なメインテナンスによるネジの締まり具合や噛み合わせのチェックが、トラブルの予防につながります。
インプラント周囲粘膜炎は、インプラント周りの歯茎(歯肉)にのみ炎症が起きている状態で、「インプラント周囲炎」の前段階です。主な原因は、歯磨きが不十分でプラーク(歯垢)が溜まることです。
この段階の場合は、歯科医院での専門的なクリーニングと、毎日のセルフケアを徹底することで、健康な状態へ改善が可能です。インプラントを長持ちさせるためには、この初期段階での対応がいかに重要かを覚えておきましょう。
インプラント周囲炎は、インプラント周囲粘膜炎が進行し、炎症が歯茎だけでなくインプラントを支える顎の骨にまでおよんだ状態です。
もし骨が溶かされてしまうと、インプラントは支えを失ってグラグラになり、最終的に抜け落ちてしまいます。インプラント周囲炎は自覚症状なく進行するケースも多いため、定期メインテナンスによる早期発見・早期治療が不可欠です。
加齢やインプラント周囲炎などによって歯茎が痩せて下がってくると、インプラントと人工歯の境目にあるアバットメントが露出するケースがあります。とくに前歯など目立つ部分で起こると、見た目の美しさが損なわれやすいです。
歯茎下がりを完全に防ぐのは困難ですが、適切なブラッシング圧でのケアや、定期メインテナンスで歯周組織の健康を保つことが、進行を遅らせるうえでは効果的です。
インプラント治療後の噛み合わせが適切でないと、顎の関節や筋肉に過度な負担がかかり、顎関節症を引き起こす場合もあります。また顎の不調は、頭痛や首・肩のこり、めまいといった全身の不定愁訴につながることも少なくありません。
インプラントには、天然歯のように衝撃を和らげる「歯根膜」と呼ばれる組織がないため、噛み合わせの精密な調整が重要です。治療後も定期的に噛み合わせをチェックしてもらい、常に最適な状態を保つことが全身の健康維持にもつながります。
インプラントの構造は天然歯と異なるため、人工歯と歯茎の間にわずかな隙間ができやすく、そこに汚れが溜まりやすいのが特徴です。この汚れを毎日の歯磨きでしっかりと除去できていないと、細菌が繁殖して嫌な臭いを放ち、口臭の原因となります。
とくに歯間ブラシやデンタルフロス、タフトブラシといった補助的な清掃用具の適切な使用が口臭予防のポイントになります。自分では気づきにくいお口の臭いを防ぐためにも、正しいセルフケアの方法を歯科医院で指導してもらいましょう。
インプラント1本あたりの費用相場は、「約30〜40万円程度」です。インプラントは、基本的に自由診療のため全額自己負担となります。
この費用には、術前の検査・診断料、インプラント体の埋入手術費、インプラントの上にかぶせる人工歯の費用などが含まれます。ただし、顎の骨が不足している場合に追加でおこなう骨造成手術などは別途費用がかかるケースが一般的です。
また、医院の立地や設備、使用するインプラントメーカー、医師の技術料などによって費用は変動するため、必ず事前に詳細な見積もりを確認しましょう。
失った歯を補う治療法はインプラントや入れ歯、ブリッジなどがあり、それぞれ異なる特徴があります。自分に合った治療法を判断するためには、まずは3つの治療法の違いを比較してみましょう。
インプラントは機能性や審美性、周囲の歯への優しさにおいて最も優れていますが、外科手術が必要で費用も高額です。一方で、入れ歯やブリッジは保険適用で費用を抑えられますが、周囲の歯への負担や機能面で劣る点などがあります。
自身の希望や口内の状態、ライフスタイルなどを総合的に考慮し、歯科医師とよく相談して治療法を選択するようにしましょう。
インプラント治療の一般的な期間と流れは、以下のとおりです。
インプラント治療は外科手術を伴い、骨とインプラントが結合するのを待つ時間が必要なため、ほかの治療法に比べて長期間となるのが特徴です。
インプラント治療を成功させるためのポイントは、以下の3つです。
ひとつずつ解説します。
インプラント治療の成否は、歯科医師の知識や技術、経験に左右されやすいです。そのため、治療を受ける歯科医院や医師は慎重に選ぶ必要があります。
たとえば、以下のような選ぶ際の基準をチェックしてみましょう。
複数の医院でカウンセリングを受け、自分が心から信頼できると感じる医師を見つけてください。
インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアが重要です。インプラントは虫歯にはなりませんが、清掃が不十分だと歯周病と同じメカニズムで「インプラント周囲炎」になってしまいます。
インプラント周囲炎を防ぐには、通常の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやタフトブラシなどを使い、インプラントと歯茎の境目を丁寧に清掃してください。
どれだけ丁寧にセルフケアをおこなっていても、自分では落としきれない汚れは必ず付着しています。そのため、歯科医院での専門家による定期的なメインテナンスは絶対に欠かせません。
メインテナンスでは、専用の器具を使って徹底的に汚れを除去するだけでなく、インプラントの状態や噛み合わせに異常がないかをチェックできます。万が一トラブルが起きていても、早期に発見することで大事に至らずに対処も可能です。
インプラントを守るため、そしてお口全体の健康を維持するためには、定期検診を必ず受診しましょう。
インプラントは、「自分の歯のようにしっかり噛める」「見た目が自然」「周囲の歯に優しい」といった多くのメリットを持つ優れた治療法です。その一方で、「外科手術が必要」「費用が高額」「長期的なメインテナンスが不可欠」といった側面も持ち合わせています。
重要なのは、これらの両面を正しく理解し、自身の価値観やライフスタイルに合った選択をすることです。もしインプラント治療が自身に合った治療法なのか知りたい方は、ぜひ歯科医院を受診してみましょう。
ソレイユデンタルクリニックでは、インプラント治療のご相談を随時受け付けております。術前・術後のケアまで徹底しておこなわせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
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