「インプラントの手術から数週間経つのにまだ痛みが引かない」「もう少し様子を見れば治るかもしれない」
上記のようなお悩みを抱え、「もしかして手術に失敗したのでは?」と不安な日々を過ごしていませんか?
インプラントの手術後2週間を超えて続く痛みや、日増しに強くなる痛みは異常のサインです。大切なインプラントを長く使い続けるためには、このSOSを正しく受け取り、早急に適切な処置を受ける必要があります。
そこでこの記事では、インプラント手術後に痛みが続く原因や、受診が必要な異常な痛みサインを解説します。
インプラントの痛みが続く・強いときの対処法や、インプラントの痛みが続くのを防ぐ術後の注意点もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
通常、術後の痛みは1〜10日程度で落ち着くのが一般的です。インプラントの手術から数週間が経っても痛みが引かない、あるいは痛みがぶり返した場合、何らかのトラブルが起きている場合があります。
インプラントの痛みが続く原因は、以下の5つです。
ご自身の症状と照らし合わせて確認してください。
インプラントの術後に痛みが出る原因の一つは、インプラントの周りが細菌に感染して炎症を起こすインプラント周囲炎です。これは天然の歯でいう歯周病のような病気で、日ごろの歯磨きが不十分だったりメンテナンスを怠ったりすると発症します。
インプラント周囲炎を発症した初期はあまり症状がありませんが、痛みや腫れ、膿が出る段階では、すでに周りの骨が溶け始めている場合があります。放っておくとインプラントが抜け落ちてしまうため、早急に歯科医院での洗浄や治療が必要です。
インプラント本体と顎骨がしっかりとくっつかず、インプラント体が動いているのも痛みを感じる原因の一つです。通常、チタン製のインプラントは骨と結合して固定されますが、手術中の感染や骨の質、あるいは喫煙などが原因でうまく結合しないケースがあります。
インプラント体が固定されていない状態で物を噛むと、動いたインプラントが周囲の骨や歯茎を圧迫して強い痛みが生じます。この場合、一度撤去して再手術が必要になる場合があるため、速やかに歯科医院にお問い合わせください。
手術中に顎の神経を傷つけたり、ドリルの熱で骨が火傷を負ったりした影響で痛みが続いている場合があります。
インプラントを埋める穴を開ける際、ドリルが神経に触れてしまうと、長期間にわたって痛みや麻痺、痺れが残ります。また、ドリルの回転による摩擦熱で骨の細胞が壊死するオーバーヒートが起きると、術後でも炎症と痛みは治まりません。
これらは専門的な処置が必要なため、薬で痛みが引かない場合はすぐに歯科医師に相談してください。
人工歯とインプラントをつなぐ土台のネジが緩んだり壊れたりして、周囲の組織を刺激しているケースも、インプラントの術後に痛みが続く原因です。
毎日食事で強い力がかかり続けると、内部のネジが金属疲労で緩んでくる場合があります。ネジが緩むと隙間に細菌が入り込んで炎症を起こしたり、グラグラした部品が歯茎を挟んだりして痛みが出るのです。
ご自身で締め直すのは不可能なため、歯科医師に専用の器具で調整してもらうか、部品を交換してもらいましょう。
被せ物の高さが合っておらず、噛むたびにインプラントへ過剰な力がかかっているのも痛みを感じる原因です。
インプラントには天然の歯にある歯根膜というクッションの役割をする組織がないため、噛む力が骨にダイレクトに伝わります。その結果、噛み合わせがほんの少し高いだけでも、骨に負担がかかり痛みとして現れます。
噛んだときに特定の場所だけ強く当たる感覚がある場合は、高さを調整すると痛みが改善できる場合もあります。歯科医師の判断を仰ぎましょう。
インプラント手術後に「我慢できないほどの痛み」や「いつまでも引かない痛み」は何らかの異常が起きているサインです。以下のような症状が見られる場合は、自己判断で放置せず、すぐに歯科医院へ連絡してください。
一つずつ解説します。
処方された痛み止めを飲んでも効果がないほどの激痛は、手術部位で細菌感染や骨の炎症などのトラブルが起きている可能性が高いです。
通常、術後の痛みは薬を服用すると日常生活を送れる程度に治まります。しかし、薬が効かずに夜も眠れないような状態は、インプラントが骨にうまく結合していないか、神経に近い部分に影響が出ている場合があります。
我慢し続けて悪化する前に、歯科医院へ早急に受診してください。
インプラントの手術から1週間以上、とくに10日を過ぎても痛みが続く場合は、傷口の治癒が正常に進んでいないおそれがあります。
一般的なインプラント治療では、術後3日〜1週間程度で痛みや腫れは落ち着いてくるのが一般的です。2週間近く痛みが続く場合は、傷口が開いてしまっていたり、内部で慢性的な炎症が起きていたりするケースが疑われます。
インプラントの手術直後よりも、日が経つにつれて痛みが強くなる場合は、傷口が悪化している危険なサインです。
通常、痛みは時間の経過とともに徐々に和らぎます。逆に痛みがぶり返して強くなるのは、ドライソケット(骨が露出した状態)や術後感染を起こしている場合があるのです。
ズキズキとした脈打つような痛みが増してきた場合は、とくに緊急性が高いです。
患部からの出血がいつまでも止まらなかったり、歯茎から黄色っぽい膿が出ていたりするのは、傷口が細菌に感染しているサインです。
インプラントの術後1日〜2日程度のにじむような出血はよくありますが、膿が出るのは正常な反応ではありません。膿は独特な嫌な臭いを伴うことが多く、インプラント周囲炎の初期症状であるケースも考えられます。
抗生物質の追加投与や患部の洗浄が必要になるため、すぐに歯科医院に問い合わせください。
インプラントの術後に痛みだけでなく、唇や顎の皮膚にピリピリしたしびれや麻痺が残っている場合は、手術中に神経を傷つけてしまった神経損傷の疑いがあります。
通常、麻酔の効果は数時間で切れますが、翌日以降も感覚が戻らないのは異常が起きているサインです。インプラント体が神経を圧迫している、あるいはドリルで神経を傷つけた可能性があり、放置すると麻痺が一生残るリスクもあります。
術後の痛みがなかなか引かないときは、まずは自分でできる正しい対処法を試し、患部の炎症を落ち着かせるのが先決です。ここでは、自宅ですぐに実践できる対処法を見ていきましょう。
一つずつ解説します。
痛みが辛いときは、無理に我慢せず、歯科医院から処方された痛み止めを指示通りに服用してください。
薬を飲んで痛みをコントロールすると、体へのストレスが減り、結果的に傷の回復を助ける効果も期待できます。痛くなり始めてから飲むよりも、麻酔が切れかけたタイミングや、痛みの予兆を感じた時点で早めに飲むのが効果的です。
ただし、指定された回数や量を守るのが鉄則であり、飲みすぎると胃に負担がかかるため注意しましょう。
腫れや熱感を伴う強い痛みがある場合は、患部を頬の外側から濡れタオルなどで軽く冷やすのが有効です。適度に冷やすと血管が収縮し、炎症や内出血を抑えて痛みを和らげる効果があります。
ただし、氷や保冷剤を直接肌に当て続けたり、長時間冷やしすぎたりするのは避けてください。過度な冷却は血行を悪くし、かえって傷の治りを遅くするリスクがあります。
インプラントの痛みが続く場合は、気持ちいいと感じる程度で、断続的に冷やすようにしましょう。
インプラントの手術当日から数日間は、激しい運動や熱いお湯への入浴はできるだけ安静に過ごしましょう。
激しい運動や熱いお湯への入浴をおこなうと、血行が良くなりすぎてしまい、傷口からの出血やズキズキとした痛みが強くなる原因になります。入浴はぬるめのシャワー程度で済ませ、体温が上がりすぎないように心がけてください。
仕事が忙しい場合でも、術後2〜3日は体に負担をかけないよう、スケジュールを調整しておきましょう。
痛みの原因となる細菌感染を防ぐため、口腔内を常に清潔に保つのが重要です。ただし、手術した傷口を歯ブラシでゴシゴシ磨いたり、指や舌で触ったりするのは厳禁です。患部は避け、ほかの健康な歯をいつも以上に丁寧に磨くようにしてください。
また、うがいをする際は、激しくブクブクせずに、水を口に含んで優しく吐き出す程度に留めましょう。
上記の対策をしても痛みが治まらない、あるいは日が経つにつれて痛みが強くなっている場合は、迷わず担当の歯科医師に相談してください。通常、術後のピークは約2〜3日で過ぎますが、それ以上続く痛みは感染症やインプラントの結合不全など、何らかのトラブルが起きている場合があります。
そのうち治るだろうと放置せず、早めに受診して原因を特定するのが、最悪の事態を防ぐための最善策です。
インプラント手術後の痛みを長引かせないためには、医師の指示を守り、日常生活で患部に負担をかけないのが大切です。ここでは、痛みを最小限に抑え、順調に回復するために気をつけるポイントを見ていきましょう。
一つずつ解説します。
血の巡りが良くなりすぎると出血や強い痛みを引き起こすため、術後2〜3日は激しい運動や高温での入浴を控えてください。体温が上がると血管が広がり、ふさがったはずの傷口から血が出たり、ズキズキとした痛みが増したりします。
インプラントの術後は、息が上がるようなスポーツはもちろん、サウナや長時間の湯船も避けるのが無難です。汗を軽く流す程度のシャワーで済ませ、体力を消耗しないようにゆっくりと体を休めましょう。
タバコやアルコールは傷口の治りを遅らせ、感染症のリスクを高めるため、インプラントの術後少なくとも1〜2週間は喫煙を控えてください。
タバコに含まれるニコチンは血管を縮め、傷を治すのに必要な酸素や栄養が届くのを妨げます。また、アルコールは血流を促進させて出血や腫れを悪化させる原因となります。
インプラントと骨が結合しない最悪のケースを防ぐためにも、術後1~2週間とくには禁煙と禁酒を徹底しましょう。
気になっても患部を指や舌で触ったり、歯ブラシでゴシゴシ磨いたりするのは控えてください。手術直後の傷口は無防備で、細菌感染を起こしやすい状態です。手や舌についた雑菌が入り込むと、化膿して痛みが長引く原因になりかねません。
歯磨きの際は患部を避けて優しく磨き、処方されたうがい薬で消毒する程度にとどめましょう。縫い糸が気になっても、引っ張らないよう注意してください。
傷口への刺激を避けるため、辛いものや硬いものは控え、柔らかく消化の良い食事を心がけましょう。
香辛料の刺激は患部に染みて痛みを増幅させるほか、血行を良くして出血を招くリスクがあります。また、ナッツやせんべいなどの硬い食べ物は、誤って患部に当たると傷口が開くリスクもあります。
術後数日間は、おかゆやうどんなどを人肌程度に冷ましてから、手術していない側の歯で噛むようにするのがおすすめです。
処方された抗生物質は、たとえ痛みが治まったとしても、自己判断で中断せずに必ず最後まで飲み切ってください。痛み止めは、抗生物質は細菌の感染を防ぎ、化膿を抑えるために処方されているためです。
抗生物質を途中で飲むのをやめると体内に細菌が残り、再び炎症が起きて痛みがぶり返すリスクがあります。術後の痛みを抑えるために、医師が定めた期間と量をしっかりと守りましょう。
インプラントの痛みが続くのは、体からの危険信号であり、決して我慢してはいけない異常のサインです。術後の痛みは通常1週間~10日間ほどで落ち着きますが、それ以上続いたり腫れを伴ったりする場合は、歯科医師に相談すべきタイミングです。
早期にトラブルの原因を発見して適切な処置をおこなうと、再手術や抜去といった事態を回避できる可能性が高まります。せっかく入れたインプラントを長く大切に使い続けるためにも、違和感を放置せず、歯科医師の診断を受けて不安を解消しましょう。
ソレイユデンタルクリニックでは、インプラントのご相談を随時受け付けております。術前・術後のケアまで徹底しておこなわせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
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