インプラント手術が無事に終わってひと安心ですが、まだ抜糸が残っていると思うと、少し緊張しますよね。とくに初めての手術だと、「抜糸って痛いのかな?」「いつから普通の食事ができるんだろう」「仕事や育児に影響が出たらどうしよう」と、日常生活への復帰を前に不安を感じていませんか?
抜糸の流れと術後の正しい過ごし方を事前に知っておけば、痛みやトラブルへの不安は解消され、回復を早めることができます。この記事では、インプラント術後から抜糸までの流れを解説します。
抜糸前と抜糸後の注意点や、インプラントの抜糸で痛みを和らげるための準備や対処法もご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
インプラント手術後の抜糸は、一般的に手術から1〜2週間程度でおこなわれます。(ただし、傷口の治癒状態や縫合方法によって時期は異なります。)
以下では、インプラント手術後の抜糸について解説します。
ひとつずつ見ていきましょう。
インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込む「一次手術」と、人工歯を装着するための部品を取り付ける「二次手術」がおこなわれる場合があります。
一次手術は歯茎を切開する範囲が比較的大きいため、抜糸まで1〜2週間程度かかることが一般的です。
一方、二次手術は歯茎の切開範囲が小さいことが多く、抜糸が不要な場合や、一次手術より早い段階で抜糸できる場合があります。
ただし、実際の抜糸時期は口腔内の状態によって異なるため、歯科医師の指示に従うことが大切です。
インプラント手術後の抜糸が予定より大幅に遅れると、縫合糸の周囲に汚れや細菌が付着しやすくなり、炎症や感染のリスクが高まる場合があります。
また、縫合糸が組織に食い込んだり、取り除きにくくなったりする場合があります。
やむを得ず予約日に通院できない場合は、そのまま放置せず、できるだけ早く歯科医院へ連絡して新たな受診日を相談しましょう。
インプラント手術後に歯茎を縫い合わせて抜糸するのは、傷口を保護して感染を防ぎ、治癒を促すためです。手術で切開した歯茎が開いたままだと、食べかすや細菌が入り込んで炎症を起こすリスクがあります。
また、糸による縫合によって傷口を安静な状態に保ち、インプラントと骨の結合をサポートするのはもちろん、出血を抑えて手術後の痛みや腫れを軽減する役割もあります。
インプラント手術後に歯茎を縫い合わせて抜糸するのは、感染リスクを軽減し、インプラントの成功率を高めるのに重要な処置です。
以下は、インプラント手術後から抜糸までの流れは5段階に分けられます。
それぞれ解説します。
まず、インプラント手術では、歯茎を切開して顎の骨にインプラント体を埋め込み、傷口を縫い合わせます。インプラント埋入手術の縫合は、切開した歯茎が開かないように固定し、感染を防いで治癒を促すのに重要な処置です。
手術は局所麻酔でおこなうため、術中に痛みを感じることはほとんどありません。手術が終わると、ガーゼを噛んで止血し、抗生物質や痛み止めなどの薬が処方されます。
手術後は、抜糸をおこなうまでの約1週間〜2週間、ご自宅での安静期間に入ります。安静期間は、手術した場所の傷口が治り、歯茎が安定するのを待つための大切な時間です。
歯科医師の指示を守り、飲酒や喫煙、激しい運動などを避けましょう。また、食事は硬いものや刺激物を控え、手術した場所になるべく触らないように注意しなくてはなりません。
抜糸のために来院した際、まずは歯科医師による傷口の治り具合の確認です。歯茎がきちんと閉じているか、腫れや炎症といった異常がないかを丁寧にチェックします。
傷の治りが遅いと判断された場合は、抜糸を数日延期する場合もありますが、順調に回復している場合は、そのまま抜糸の処置へ進みます。
傷口の確認で問題がない場合、いよいよ縫合した糸を抜き取る抜糸の実施です。抜糸の処置自体は、専用の器具で糸の結び目を切り、ピンセットで糸を引き抜くだけなため、数分で終わります。
通常、麻酔は必要ありませんが、痛みが不安な場合は表面麻酔を検討してくれる場合もあります。痛みが不安な方は、麻酔を使用したい旨を事前に伝えておきましょう。
抜糸が終わったあとは、インプラント体と顎の骨がしっかりと結合する期間に入ります。インプラント体を顎の骨が結合する期間は、下顎で約2〜3カ月、上顎で4〜6カ月程度が目安です。
骨とインプラント体が完全に一体化するまで、安静に待ちましょう。
インプラントの抜糸は、強い痛みを感じることは少ないとされ、多くの場合は短時間で終了します。抜糸では縫合糸を専用の器具で切って取り除くだけのため、多くの場合は麻酔を使用せずにおこなえます。ただし、不安が強い場合や痛みを感じる場合は麻酔を使用することもあります。
抜糸中は、糸が引っ張られるような感覚や軽いチクッとした刺激を感じることがあります。しかし、痛みがあったとしても一時的なもので、我慢できないほど強い痛みになることはあまりありません。
また、抜糸後に一時的な違和感や少量の出血がみられる場合がありますが、多くは自然に改善します。ただし、抜糸後も強い痛みや腫れが続く場合は、感染や傷口のトラブルが起きている可能性もあるため、早めに歯科医院へ相談することが大切です。
インプラント手術後から抜糸までの期間に気をつけることは、以下の8つです。
それぞれ解説します。
術後から抜糸までの期間は、硬いものや刺激の強い食べ物を避け、柔らかく消化の良い食事を心がけましょう。
手術後の傷口はデリケートであり、硬い食べ物を噛むと患部を傷つけたり、縫合した糸が切れたりするリスクがあります。そのため、おかゆやスープ、ゼリー、豆腐など、あまり噛まなくても食べられるものがおすすめです。
また、唐辛子などの香辛料や、熱すぎる食べ物も血行を良くしてしまい、痛みや出血の原因になるため避けるのが安心です。
手術当日から抜糸までは、血行が良くなるような行動は控えましょう。激しい運動や長時間の入浴、飲酒は、体内の血の巡りを活発にし、痛みが増したり、出血が止まりにくくなったりする原因になります。
また、喫煙は、血管を収縮させて傷の治りを悪くするだけでなく、感染のリスクも高めます。手術後は安静に過ごし、入浴はシャワー程度に済ませるなど、身体に負担をかけない生活を送ってください。
傷口の早い回復のため、指や舌で患部に触れたり、頻繁にうがいをしたりしないように注意しましょう。気になって触ってしまうと、細菌が入って感染を起こすリスクがあります。
また、強い力でのうがいは避けてください。傷口を保護するかさぶたを剥がしてしまい、治りが遅くなるドライソケットの原因にもなりかねません。うがいをする際は、水を口に含んで優しく吐き出す程度にとどめるのが大切です。
お口のなかを清潔に保つため、手術した箇所以外の歯は、柔らかい歯ブラシで優しく磨くようにしてください。手術した部分の近くは、縫合した糸を傷つけないよう、とくに慎重に磨く必要があります。
歯ブラシの毛先が当たらないように気をつけ、歯間ブラシやデンタルフロスの使用も、抜糸が終わるまでは控えたほうが安全です。また、殺菌成分の入ったマウスウォッシュを処方された場合は、歯科医師の指示に従いましょう。
抜糸の前日はしっかりと睡眠をとり、体調を万全に整えておくのが、痛みを軽くするために重要です。体調が悪いと、普段は気にならないようなわずかな刺激にも敏感になり痛みを感じやすいためです。
リラックスした状態で処置を受けられるように、前日は十分な睡眠をとり、体調を整えましょう。
歯科医師から処方された抗生物質や痛み止めは、指示された通りに飲み切るのが重要です。抗生物質は、傷口からの細菌感染を防ぐための大切なお薬です。
痛みがないからといって自己判断でやめてしまうと、あとから感染症を引き起こすリスクがあります。
痛み止めは、痛みが我慢できない時に服用してください。薬を正しく服用するのは、手術後の経過を順調にし、抜糸までの期間を安心して過ごすために不可欠です。
手術後の強い痛みや腫れが数日経っても引かない場合や、縫合した糸が取れてしまった場合は、すぐに手術を受けた歯科医院へ連絡しましょう。手術後の強い痛みや腫れが数日経っても引かない際は、傷口で何らかのトラブルが起きている場合があり、自己判断で放置すると、症状が悪化するリスクがあります。
また、糸が取れると傷口が開くリスクもあるため、不安な点がある場合は抜糸の予定日を待たずに、歯科医師へご相談ください。
どうしても痛みが怖い、あるいは痛みに弱い方は、事前に歯科医師へその旨を伝え、表面麻酔の使用を希望しましょう。表面麻酔によって、歯茎表面の刺激による痛みや不快感を軽減できる場合があります。
表面麻酔は、歯茎の表面に塗るジェル状やスプレー状の麻酔薬で、注射針を刺すわけではありません。
すべての歯科医院が表面麻酔に対応しているわけではないため、痛みに不安がある場合は、「表面麻酔は使えますか」と歯科医師に相談してみましょう。
インプラントの抜糸後は、以下の5つに注意が必要です。
1つずつご紹介します。
抜糸当日の食事は、傷口を刺激しないよう、おかゆやスープ、ヨーグルトなど柔らかいものを選んでください。抜糸したとはいえ、歯茎はまだ完全に治癒したわけではなくデリケートな状態なため、硬いものや辛いもの、熱すぎるものは血行を促進し、痛みや出血の原因になります。
咀嚼の際は、抜糸した側とは反対側でゆっくり噛むように意識しましょう。抜糸後も、傷口の回復を順調に進めるために、食事内容への配慮が大切です。
抜糸した部分の歯磨きは、傷口を刺激しないように当日は避け、翌日から柔らかめの歯ブラシで優しくおこなってください。抜糸直後はまだ傷口が完全に閉じていないため、歯ブラシが強く当たると再出血や痛みの原因になります。
抜糸した部分以外は通常通り磨いて構いませんが、抜糸した部分を強く磨くのは避け、毛先が軽く触れる程度の力で汚れを落とすようにしましょう。
抜糸後約2〜3日は、飲酒やサウナ、激しい運動など血行が良くなる活動は控える必要があります。血の巡りが良くなると、傷口の血管が広がってしまい、痛みが出たり再出血したりするリスクが高まります。
デスクワークや軽い散歩程度は問題ありませんが、ジョギングや筋力トレーニングといった心拍数が上がる運動は避け、傷口が落ち着くまでの数日間は、できるだけ安静に過ごすように心がけましょう。
抜糸後の傷口が気になっても、指や舌でむやみに触らないように意識してください。抜糸した部分は、治りかけの段階でかゆみや違和感が出る場合があります。
しかし、気になって触ってしまうと、指についた細菌が傷口に入って感染を起こしたり、刺激によって治りが遅れたりする原因になりかねません。できるだけ気にしないように努め、自然に治癒するのを待ちましょう。
抜糸後、数日経っても強い痛みや腫れが引かない場合は、我慢せずにすぐに治療を受けた歯科医院へご連絡ください。通常、抜糸後の痛みは当日か翌日には落ち着き、徐々に和らいでいくのが一般的です。
痛みが日に日に強くなる、腫れがひどくなる、出血が止まらないといった症状がある場合は、何らかのトラブルが起きているおそれがあります。自己判断せずに、専門家である歯科医師の指示を仰ぐのが安全です。
インプラントの抜糸は手術後約1〜2週間が目安で、痛みもほとんどありませんが、術後の正しい過ごし方が傷口のきれいな治癒とインプラントの定着に不可欠です。抜糸までの食事や歯磨きの注意点を守り、感染などのトラブルを防ぎましょう。
不安な点は自己判断せず、歯科医師の指示に従うのが安心です。
当院では、インプラントはもちろん、虫歯や歯周病治療においても、痛みやご負担を軽減できる治療を心がけております。歯科医院が苦手な方も、お気軽にご来院ください。
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
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